Anthropicは2026年8月から9月にかけて、営業開発、Slack上の業務、開発基盤でのClaude利用を公式ブログで紹介しました。John Albertが営業開発、Aleksandra TodorovaがClaude Tag、Sachin Malhotraがコード変更のテストを実行するCIでの取り組みを記しています。
3本はいずれも自社製品の紹介を兼ねた社内事例です。以下の所要時間や倍率はAnthropicと社内担当者の報告であり、組織全体の効果測定や第三者による検証結果ではありません。Claude Tagの記事も、所要時間は特定の作業についての個人の経験であり、作業内容、接続したツール、設定によって結果が変わると注記しています。
返信の送信と法務判断に人の確認を置く
John Albertが報告した営業開発の運用では、Claude Coworkに設定したスキルが1時間ごとに受信箱を確認し、担当者が返信すべきメールの下書きを作ります。送信前には担当者が読み、編集します。商談管理のSalesforceを更新するスキルも、変更案と根拠を提示して承認を待ち、担当者が修正・却下した理由を記録します。
Aleksandra Todorovaが紹介した法務の運用では、専用のSlackチャンネルに投稿された資料をClaude Tagが先に確認します。根拠のない宣伝上の主張などを指摘し、依頼者と修正を進め、法務の承認が必要な論点が残れば担当の法務担当者を呼び出します。同記事によれば、この運用でマーケティング資料1件の法務確認にかかる時間が1日以上から30分になりました。
法務担当者は、毎週金曜日にその週の法務側のフィードバックをClaude Tagに確認させ、共通の指示内容の更新案を出す手順も設けています。更新案はその担当者の承認に回します。
参照する情報を整え、出力を確認し直す
営業開発では、よくある質問と回答をまとめた文書をClaudeが返信作成前に読みます。John Albertによると、古くなった可能性のある情報はClaudeが指摘し、人が確認できる形にしています。夜間の企業調査にはSalesforce、営業ツール、商談記録、データウェアハウスを接続し、チームが整えた営業活動の指針や顧客像の基準と照合しています。
Slack上での資料作成にも、人による情報の補足が記されています。Aleksandra Todorovaの記事では、プロダクトマーケティングの担当者がSlackの議論から顧客向け説明資料を作る際、会話の一部だけを参照したため説明の捉え方に偏りが生じました。担当者が文脈を追加し、公式資料も渡して、計4版のやり取りを経てプロダクト責任者の確認に回しました。最初の依頼からここまで約45分だったと報告しています。
同記事のこの担当者の運用では、Claude Tagが扱うチャンネルと文書はアクセスを認められた範囲に限られます。プロダクト戦略部門の別の事例でも、顧客からの要望を集める際に製品フィードバックの集約先へ直接アクセスできず、Slack内の参照情報を使いました。また、前週の顧客の問題をまとめる作業では、出力の再確認を求めた後に15件の問題が追加で見つかったとしています。
Claude Tagは、同記事の公開時点ではAnthropicの直接提供サービスのTeam・Enterpriseプランで利用できる公開ベータ版と案内されています。
CIでは、増えたジョブを処理する基盤を再設計
開発基盤についてSachin Malhotraは、AnthropicのCIジョブ数が6か月で25倍になったと報告しました。同社はすべての変更に全テストを実行するのではなく、過去のテスト結果と関連するパッケージを基に、実行するテストを選んでいます。ジョブの増加でテスト結果の記録処理が遅れ、選択に使う履歴が古くなる問題が起きたと説明しています。これはCIが実行されなかったという意味ではなく、不安定なテストや広範囲で失敗しているテストを実行してしまう事態が主だったとしています。
同記事によれば、対策の途中では社内版Claude Tagに監視を任せ、処理待ちが5万ジョブを超えると通知する仕組みを設けました。最終的には、テスト結果をインメモリのデータストアに書き込み、別の処理で履歴にまとめる構成へ変更しました。記録を担うワーカーが状態を抱えずに済むため、ワーカー数を増やして処理を分散できます。
Sachin Malhotraは、再設計をエンジニア1人が3週間で行い、その後は安定していると報告しています。一方、分散構成の運用費用は以前より高くなったと記しています。PRと呼ばれるコード変更の提案についても、人間のエンジニアが依然として相当数を主導し、承認していると説明しています。
EDITORIAL VIEW
編集部の見立て
ここからは、上の事実をもとにした編集部の読みです。確認された事実ではありません。
営業とSlack上の業務で共通するのは、生成された文章だけで仕事が完了するわけではない点です。返信には担当者の確認、法務の指示変更には承認が入り、資料作成では人が参照情報を補っています。この2本からは、Claudeの担当範囲を広げながら、情報を補う役割と承認する役割を人に残す運用が読み取れます。ただし、これがAnthropicの全部門に共通する手順かどうかは分かりません。
CIの事例を合わせると、AIの社内利用を広げる際の制約は、文章やコードを作る時間だけでは捉えきれないと考えられます。業務側では参照情報と確認手順、開発側では増えたテスト実行を支える基盤が具体的な論点になっています。CIの処理量増加や個別作業の短縮時間だけから、同社全体の生産性や費用対効果がどれだけ変わったかまでは判断できません。
確度 中複数の資料と整合しますが、確認できない前提を含みます。
見立ての根拠にした資料
- Sachin Malhotra — Agentic coding is straining CI. Here’s how we scaled test impact analysis at Anthropic — Claude Blog(claude.com、Anthropic):CIジョブ増加に伴うテスト選択サービスの再設計、運用費用の増加、人が引き続きPRを主導・承認しているという報告を根拠にしています。
- Aleksandra Todorova — How Anthropic employees use Claude Tag — Claude Blog(claude.com、Anthropic):資料作成時の文脈追加、アクセス範囲の制約、法務の承認と指示更新、所要時間は個人の経験という注記を根拠にしています。
- John Albert — How Anthropic's business development team uses Claude to run inbound and outbound at scale — Claude Blog(claude.com、Anthropic):営業メールの送信前確認、Salesforce更新前の承認、質問回答集と営業指針を参照する運用を根拠にしています。
出典・更新履歴
- Sachin Malhotra — Agentic coding is straining CI. Here’s how we scaled test impact analysis at Anthropic — Claude Blog(claude.com、Anthropic)
- Aleksandra Todorova — How Anthropic employees use Claude Tag — Claude Blog(claude.com、Anthropic)
- John Albert — How Anthropic's business development team uses Claude to run inbound and outbound at scale — Claude Blog(claude.com、Anthropic)
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